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のり弁当 - 漫画の書評・感想のブログ -

漫画の書評や読書感想を書いてます。時々、つぶやきもあります。

こち亀ウエハースシール、ただ今、20種類。

雑記

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集めている「こち亀ウエハースシール」は、ただ今、20種類。もう一枚ある両さんがなかなか出てこない。あとは、大好きキャラの爆竜大佐。纏もまだ未収集。両さんの祖父の両津官兵衛がこのシリーズに入ってないのが残念。

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 コミックス92巻の「鬼軍曹ふたたび!!の巻」より。鬼軍曹こと爆竜大佐(爆竜鬼虎)は、誰彼かまわず、「貴様 それでも軍人か!!」とキメ台詞を言うし、すぐに発砲する。こち亀の最強キャラではないだろうか。

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 コミックス105巻の「シルバー雇用おまかせ!!の巻」より。官兵衛が作った会社R・G・C(リョーツ・ゲーム・カンパニー)で作られたシルバー世代向けゲーム「じじい伝説拳」。大ヒット作品。これを見た時は、大爆笑してしまった。

こち亀が一番好きな漫画。

漫画『アレンとドラン 1』書評

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 漫画『アレンとドラン 1』書評。作者は、麻生みことさん。主人公・林田(愛称:リンダ)は、田舎から東京の大学に進学してきた文系女子大生。ミニシアターで、マイナー映画を観ることが好きな映画オタク。その彼女が、恋愛を通して少しずつ成長していく物語。

 主人公は、同級生が遊びに行こうと誘って来ても、逆に、映画を観に行こうと誘ってしまうほどのサブカル系の変わり者。映画の話になると夢中になり、自分の好きな映画の話ができる相手としか相性が合わないと思い込んでいる。でもほんとは、生きることが下手で、対人関係が苦手で、空気が読めない人間と思っている。言いたいことも言えない自分を自己嫌悪していて、内心では、どうすればいいのかわからず、一人、悩んでいる。

 SNSで映画談義をするのが日課の林田は、自分の親と同じくらいの歳のオヤジに出会う。そしてある日、そのオヤジと会うことになるのだが、そのオヤジは下心まる出しで、彼女は襲われてしまいそうになる。そこへ隣の部屋に住む同じ大学に通う、一年、先輩の江戸川(愛称:エドガー)が現れ、危機一髪で彼女を救う。

 イケメンでサブカル無感心男子の江戸川は、バーでバイトをしているのだが、ある日、彼女がそのバーに現れた。先日の、みっともない姿を彼に晒してしまった行きがかり上、自分がどんな人間であるかを話はじめる。自己嫌悪し自分を卑下していること。恋愛もしたことがないこと。そして、そんな自分を変えたいと思っていること。洗いざらい彼に話すのだ。

 江戸川は、彼女の切実に訴える姿に胸を打たれたのか、その後も常連客のようにやって来る彼女の相談役になって行く。事あるごとに話を聞いてくれ、そして、ある出来事がきっかけで、主人公は自分を受け入れてくれる彼に、心のやすらぎを感じはじめるのだ。

 穏やかで落ち着き払った性格の持つ江戸川。怒ることもあるが、人付き合いの経験が豊富なのであろう、大人びた振る舞いで気の利いた対応ができるクールさが特徴的だ。彼女からすれば、気持ちを和らげ、安心感をもたらしてくれる頼れる人物なのは間違いない。時には不安定な気持ちになる彼女とは対照的な江戸川が、ストーリーをとても落ち着いたものにしてくれる。

 サブカルのマイナー映画を好み、この手の映画の話ができる人としか友達になれないと考えている主人公。大学に入学するまでにもたくさん苦しい思いをしてきたはずで、もし、中学や高校生時代に親友が作れたなら、それなりに過ごして来たはずだ。しかし、残念ながら彼女を理解してくれる人がいず、自分を受け入れてくれる人に、これまで巡り合わなかったのだろう。

 生きづらいことなど世の中には山ほどあるが、ここまで狭い範囲でしか心を開くことができない話は、そうそうないかもしれない。それでも人は、何かしら弱い面を持っているだろうし、落ち込み悩むもあるだろう。そんな時、自分の帰る場所、そして自分を受け入れてくれる人がいれば、心穏やかになることを本作は語っている。

 自分に自信が持てない時や、生きることが下手と自己否定することもある。これは男も女も同じだ。しかし、もし自分の努力が足りないなどと考えているなら、全然違うところに、その答えがあるということを気づかせてくれる作品だ。時折、発する江戸川のキメ言葉に気が引き締まるが、主人公が徐々に周りに溶け込み、かつて感じていた生きづらさから少しずつ解放されて行く姿は、心地よい風を運んでくる。ほっとするストーリー。

 コミックスは、第一巻が出たばかりで、この先、どんな展開になるのかわからないが、繊細でたおやかなストーリになるのは間違いない。

漫画『アトム ザ・ビギニング 1』書評

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 漫画『アトム ザ・ビギニング 1』書評。原案は、手塚 治虫さん。コンセプトワークスは、ゆうきまさみさん。作画は、カサハラテツローさん。原作『鉄腕アトム』を生み出すために、現代の科学が通過するであろう道のりを描いている作品。

 AI(人工知能)は、現在、すでに開発され使用されていて、また、更なるプログラムの変更や改良も行われている。最先端の科学分野は様々な場面で使われているが、特に軍事目的にもつながる要素もあるため、どのくらいのレベルまでAIが進化しているのかは、わからない。

 本作に登場するロボットは、いろいろあるのだが、人が無線でコントロールするロボット。人が搭乗して動かすロボット。そして、「自我」を持つAI(人工知能)を搭載したロボットである。この『アトム ザ・ビギニング』第一巻からすでに「自我」を持つA106(エーテンシックス)の開発に成功している。

 謎の大災害が起きた後、国立練馬大学大学院ロボット工学科に通う、天馬 牛太郎(てんま うまたろう)と、お茶の水 博志は、第七研究室で次世代人工知能「ベヴストザイン」を搭載したエーテンシックスを研究開発している。A10シリーズの完成形を開発したいのだが、研究費が無くなってしまい、バイトをしながら研究室へ通っている毎日である。

 そのバイト中にエーテンシックスが活躍する。ロボットのテーマパークのバイトに寝坊で遅れてしまった牛太郎の代役として、エーテンシックスがロボットのぬいぐるみを着て働くのだが、あるロボットの装置がショートし発火してしまう。その発火をパレードに参加していたエーテンシックスが遠くの位置から探知し、大事故を未然に防いだのだ。誰から命令されたわけでなく自らの判断で事故を防いだのである。これがエーテンシックスの初めての功績となる。

 そして、その後日。牛太郎と博志は会議に出席していたのだが、研究室には博志の妹・蘭(らん)とエーテンシックスしかいなかった。そこへ正体不明の謎の人物らしき物体が現れ、蘭に襲い掛かってきたのだ。すぐさま危険を察知し、エーテンシックスが彼女を助け、謎の物体と交戦し始める。両者ともに互角の戦いをするのだが。

 何のために「自我」を持つロボットが必要なのか。たとえば人間が行えば非常に危険な事故や災害現場での活動も、その理由のひとつとして挙げられる。瞬時の判断で的確に人命救助を行うことも可能なはずだ。医学の分野であれば、ミスを許されない難しい手術も冷静な判断で行うこともできる。人の能力には限界がある。一日中、動き回れば疲労し休息が必要になる。このような場面で「自我」を持ち、疲れもでないロボットが活動できれば、人間にとって味方になることは間違いない。

 しかし、「自我」を持つロボットを開発することによって起こる問題もある。AIが、もし暴走するようなことになれば大ごとなのは現時点からも想像できる話だし、そのような危険な事態が起こることを、この『アトム ザ・ビギニング』が危惧していることは明白だ。

 そしてもうひとつ。古代の昔より現在に至るまで人々は争いを止めようとしない事実。原作『鉄腕アトム』の未来の世界でも同様である。いずれ様々にプログラムされた「自我」を持つロボットが数多く開発されるであろうし、その時、ロボット同士の戦いが起こるのも想像できるのだ。

 天馬 牛太郎は、荒っぽい性格もあり、お茶の水 博志は、原作『鉄腕アトム』のテレビ放送の主題歌にもある「心やさしい」という言葉を持つ青年だ。『アトム ザ・ビギニング』第一巻では、これからどのようなことが起きるのかわからないが、未来をどう描くのか非常に楽しみであり、場合によっては、様々な危険を回避するヒントになるかもしれない作品である。

 現在、『アトム ザ・ビギニング』は、第五巻が発売されています。

漫画『響 ~小説家になる方法~ 1 』書評

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 漫画『響 ~小説家になる方法~ 1 』書評。作者は柳本 光晴さん。ある天才女子高生作家の物語である。マンガ大賞2017受賞作品。

 出版社の新人文学賞に、一つの作品が送られて来た。原稿用紙を使い、自筆で小説が書かれているが、本人の性別や年齢、住所、職業、電話番号の記載はなく、本名かペンネームかさえわからない「鮎喰 響」という名前だけが書かれた応募原稿である。作品の応募はデジタルデータのみ受け付けされるため、原稿用紙で送られて来たその応募作品は、ごみ箱へ捨てられてしまったのだが、編集部の若手女性部員の花井が、その原稿が気になり読んだ。

 現在の文学界の常識を一掃させてしまう、新しい作家の出現を望んでいる花井だが、その応募されて来た作品を読んで、思わず息を呑んでしまう。粗削りではあるが文学界を変えてしまうほどの作品と感じたのだ。この作品を新人賞に応募させるべく先輩である大坪に、締め切りに間に合わせようと原稿の半分をデータ化するよう頼み込む。原稿を書いた本人と連絡すらできない状況であるにもかかわらず。

 主人公・響は、口数や表情も少ない、本を愛する北瀬戸高校一年の女子高生。孤高を貫き、自分が信じたことは決して曲げることがない性格の持ち主。入学初日に学校の不良の溜まり場となっている文芸部に入部するが、文芸部の不良を相手にしてもまったく動じない響の態度に、当然ながら不良たちは怒りを覚え文芸部に入部させまいと、嫌がらせをする。

 主人公のその恐ろしいまでの誰にも屈することがない自信と、たとえ目上の人間であっても矛盾することに対し自分の信念を曲げずに立ち向かう性格に、不良たちはとうとう音を上げてしまうしまうのだ。こうして無事、文芸部に入部した響であった。彼女と一緒に高校へ入学し通学を共にする中学からの同級生の涼太郎はいたって普通の性格で、さっそく話し相手を作るが、入学したての友達を作ろうともしない響を心配し、友人の誘いを断り同じく文芸部に入部する。

 作者である柳本 光晴さんが持つ天才のイメージは、太宰治三島由紀夫などが、一般の人たちとは違い、孤高で常識破りの資質を持ち、人間離れした独特の感性を持った、神がかった、カリスマ的な傑物なのかもしれない。主人公・響は、作者のその天才のイメージを再現しているものと感じる。

 天才は、普通の人たちから見ると非凡である。イチロー選手は、小学生の時から毎日、バッティングセンターで練習をしていたことを、インタビューで語っている。エジソンは、電球の発明に成功するまで一万回、実験を繰り返している。天才はいきなり天才であるわけではなく、人知れず影の努力を続けているが、しかし人は、突然、目の前で天才に出会ってしまうと、それまでの努力を知る由もなくその非凡さに驚かされてしまう。

 一方、人が持つ感性や五感、第六感など先天性の面では、人それぞれ違う能力を持っている。ある人は視覚に優れ、ある人は音に長け、また味覚に敏感な人など、誰がどの分野に秀でているのかは様々である。そして、たとえば歴史に名を残す音楽家は、音も聞かず譜面を見ただけでその楽曲の素晴らしさを理解してしまうが、天性によるものか努力によって磨き上げたものかは人それぞれ違うため、判断が難しい。

 主人公・響が持つ文学に対する感性。イメージする世界観や事象の捉え方、切り口。そして、それを物語として表現する能力は、天性なのか努力によるものかどうか。それは第一巻では、まだわからないが、いずれにせよ異彩を放つ天才なのである。

 最新のコミックスは、第六巻が発売されています。

漫画『地球に生まれちゃった人々』書評

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 漫画『地球に生まれちゃった人々』。作者は長崎ライチさん。独特のエキセントリックさが人気の『ふうらい姉妹』の作者の『お蔵出し』ということで、現在のスタイルに至るまでの、いろいろな作風の短編・中編作品が掲載された作品集である。全12作品が収録されているが、描いた順番はバラバラになっている様子である。また別作の『阿呆にも歴史がありますの』よりもさらに前に描かれた作品なのかどうかも不明。

 作品2と3が最近の作品と思われるが、現代風の作画ではあるものの、それでも携帯電話が存在していなかったころ描かれたものではないかと思われる。また、その他は、アメリカン・コミックの作風に影響を受けていると感じられる作品で、SFやホラーもあり、いろいろなジャンルにチャレンジしていたことが窺える。

 作品2の「清く正しくはみだした人のお話」では、主人公である上久保恭子が仕事探しをする内容なのだが、本人以外の登場する人物が一般人であるにもかかわらず、あまりにもまともではないことから、「嗚呼 脳って不思議」と常識を疑ってしまう主人公の有様が痛快だ。しかし、主人公自身も肝心なところで「阿保」を出してしまうため、両者ともに痛み分けである。

 この作品2での非常に興味深い点は、作者の人に対する鋭い観察力である。日常を非常に注意深く観察している点は、シャーロック・ホームズが異常なまでに観察に重点を置いていることに極似している。人の持つ滑稽な部分を余すことなく捉えている点は、現在の長崎ライチスタイルを、この時期には確立していたと思われる。

 作品11「ゾルムン像」で、ギリシャ彫刻を思わせる像が出てくるが、力強い作画で、作者の画力の高さを見ることができる。昭和時代の絵風の『ふうらい姉妹』。そして巻末に掲載されているカラーイラスト。さらに巻末奥付ページの抽象画風イラストと、様々なタッチの絵を描くことができる作者・長崎ライチさんである。もしかすると、どこかで美術を学んだことがあるかもしれない。

 付け加えると、この作品11あたりからでは、現在の「おバカ」なスタイルは想像できないはずで、徐々に阿保さを増幅させていったと思われる。また、他の作品ではアングラ系やピカソキュビスムを取り入れているものもあり、商業漫画とは一線を画した前衛的な印象を見受けられるのも面白い。

 本作の最後に3点のカラーイラストが収録されているが、1960年代の昭和の童謡絵本に通ずる印象もあるシュールなイラストであり、長崎ライチスタイルを確立するまでの資料にもなる貴重なものである。

 本作は、長崎ライチさんのコアなファンなら非常に興味深く楽しめるはずだ。『ふうらい姉妹』でファンになった人たちにとっては、異色の作品と思うかもしれないが、そもそも作品自体が少ない長崎ライチさんであるので、現在に至るまでの短編作品として楽しめる本作である。自分の常識は他人の非常識、他人の常識は自分の非常識という言葉のとおり、鋭く観察すると地球に生まれちゃった人々はあちらこちらが珍妙な生物なのだ。

漫画『ブルーサーマル -青凪大学体育会航空部- 1』書評

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 漫画『ブルーサーマル -青凪大学体育会航空部-』。グライダーを飛ばす大学体育会航空部が舞台の青春スポーツ作品。作者は、小沢かなさん。主人公は、長崎県出身、十九歳の都留たまき(つるたまき)。愛称は「つるたま」。『空飛ぶ』部活という、地上と空中を駆け巡る、新鮮感いっぱいの作品。

 本書タイトルである『ブルーサーマル』のサーマルとは上昇気流のことで、太陽熱で熱せられた地表の空気が気泡となって上昇する、その空気の流れのこと。通常、気泡が雲を作るのだが、ブルーサーマルとはその気泡が雲を作らない上昇気流ということだそうです。グライダーは、この上昇気流を捉えて空高く上り、そして滑空して前へ進むという飛行機です。

 高校生時代、強豪チームでバレーボールにひたすら打ち込んでいた主人公たまきは、一浪して大学へ進学する。しかし彼女には、高校二年生の時、初恋の相手に告白したものの、あえなく撃沈した苦い経験があった。そして、大声を出してスポーツをすることが、男子からすれば「恥ずかしい」ことと知しらされショックを受けてしまうのだ。

 見事にフラれた経験を持つたまきは、もう二度と体育会女子はやらないと固く決意する。そして果たせなかった「恋をする」ことを夢見て、大学入学後、出会いを求めて何の迷いもなくサークルに入ったのだが、思わぬアクシデントに見舞われてしまう。

 サークルに入った当日、事もあろうに体育会航空部のグライダーの機体の一部を壊してしまうのだ。グライダーの値段は一機、千五百万円と聞かされ、あまりの金額にその場で気絶してしまう。壊してしまった機体の修理費は二百万円。そのお金を払うことができず、そのため半ば強制的に航空部に入部させられてしまい、彼女の「恋をする」目論みは儚く消えてしまうのだった。

 だがしかし。航空部に入部した初日に、たまきはとんでもない体験をする。彼女の持つ不思議な素質を感じたせいか、主将自らパイロットになり彼女をグライダーに乗せ、真っ青な空の中へ連れて行ったのだ。その初飛行でたまきは、感動のあまり心が震えてしまったことがきっかけとなり、空を飛ぶことに目覚め始めるだ。

 主人公の都留たまきは、スポーツ少女らしく快活で、根っからの頑張り屋。初夏の風を醸し出す性格だが、『どうせやるなら一番とったるけん。よう見とかんね!!』と、みんなの前で言い切る度胸と負けん気の強さを人一倍持っている。そして一直線に相手や空を見る、心が透きとおるような彼女の眼差しは、純粋で、まっ正直な、心ばえの良い人柄を映し出している。ひょうきんでユニークな面もあるが、それが一層、彼女の純粋さを引き立て、彼女の魅力を高めている。

 特にこの第一巻での、たまきが初飛行をする場面は、心が打ち震えるほど感動的だ。息をのむほど青い世界に吸い込まれる彼女を、ものの見事に描く作者・小沢かなさんの力量に感銘を受ける。作者の作品に対する熱度の高さを伝える名場面なのだ。

 コメディタッチなシーンもふんだんに取り入れられているが、時にはまっすぐに。時には涙する主人公の心の描写が読んでいても手に取るようにわかり、そして、清々しい気持ちでいっぱいになる見事の作品だ。

 来月、コミックス第四巻が発売されます。

漫画『未中年 四十路から先、思い描いたことがなかったもので。』書評

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 漫画『未中年 四十路から先、思い描いたことがなかったもので。』。原作者は、音楽プロデューサー、作詞家、コラムニスト、ラジオパーソナリティと多方面で活躍中のジェーン・スーさん(43歳)。作画は、ナナトエリさん。四十路を迎え、心身ともに「老い」を感じ始める働く女性の「やる気」と「自信」をテーマにした作品。

 世間では、女性の社会進出が叫ばれる今日。しかし四十歳という年齢は、必ずしも若いころのような、怖いもの知らずな自信に溢れる考えや振る舞いもできない。老いを感じつつも、仕事と家庭に板挟みな女性ならば、避けては通れない人生の節目と言われるこの時期にどう立ち向かうか。身につまされる人も少なくない話を、コミカルな要素も含みつつ展開していくノンフィクションのようなストーリー。

 物語は、都内の編集プロダクションで働く、歳は四十の片山亜弥。結婚をしているが子供はなく、夫と二人暮らし。職場では、雑用とも思える仕事ばかりで、その上、年上の女性社長から叱咤を食らう毎日。性格は陽気だが、内心ではぶつくさ文句を言いつつ、やる気が出ない冴えない毎日を送っている。

 四十歳という年齢に精神的にも肉体的にも「老い」を感じ、やる気も出ず、自信さえも喪失している。これが年相応のあり方と諦めにも似た思いを抱きつつも、これからどうなって行くのかと、先々を憂う。

 職場では、年下のミキ・32歳が、女社長の相手をこばかにするいつもの態度に、若さに任せ怒り心頭。その姿にパワフルだった頃の自分を重ね合わせてしまう。その上、事もあろうに、何の相談もなく夫が勝手に会社を辞める気でいることを知って動揺を隠せない。

 やる気が出ず、からだも中年太り。雑用のような仕事。社長からの叱責。夫の退職。まだまだ残る家のローン。結婚したら幸せになれると思っていたにもかかわらず、想像もしていなかった四十路の現実に、もう誰にも頼ることができないと追い詰められる亜弥だが。

 老いても元気な人は世の中にたくさんいて、年齢よりも若く見られるという話が多い中であっても、確実に、誰の身にも「老い」は訪れる。ややもすれば現実逃避したくなる様々な出来事に直面する人生の節目。どうすればやる気が出せるか。どうすれば自信が持てるか。どうすれば生き生きとした毎日を送ることができるか。

 自らも四十路を越え、それでも自信に満ち足りた毎日を送るジェーン・スーさんが、渾身のメッセージを発信している秀作。