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漫画『未中年 四十路から先、思い描いたことがなかったもので。』感想

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 漫画『未中年 四十路から先、思い描いたことがなかったもので。』。原作者は、音楽プロデューサー、作詞家、コラムニスト、ラジオパーソナリティと多方面で活躍中のジェーン・スーさん(43歳)。作画は、ナナトエリさん。四十路を迎え、心身ともに「老い」を感じ始める働く女性の「やる気」と「自信」をテーマにした作品。

 世間では、女性の社会進出が叫ばれる今日。しかし四十歳という年齢は、必ずしも若いころのような、怖いもの知らずな自信に溢れる考えや振る舞いもできない。老いを感じつつも、仕事と家庭に板挟みな女性ならば、避けては通れない人生の節目と言われるこの時期にどう立ち向かうか。身につまされる人も少なくない話を、コミカルな要素も含みつつ展開していくノンフィクションのようなストーリー。

 物語は、都内の編集プロダクションで働く、歳は四十の片山亜弥。結婚をしているが子供はなく、夫と二人暮らし。職場では、雑用とも思える仕事ばかりで、その上、年上の女性社長から叱咤を食らう毎日。性格は陽気だが、内心ではぶつくさ文句を言いつつ、やる気が出ない冴えない毎日を送っている。

 四十歳という年齢に精神的にも肉体的にも「老い」を感じ、やる気も出ず、自信さえも喪失している。これが年相応のあり方と諦めにも似た思いを抱きつつも、これからどうなって行くのかと、先々を憂う。

 職場では、年下のミキ・32歳が、女社長の相手をこばかにするいつもの態度に、若さに任せ怒り心頭。その姿にパワフルだった頃の自分を重ね合わせてしまう。その上、事もあろうに、何の相談もなく夫が勝手に会社を辞める気でいることを知って動揺を隠せない。

 やる気が出ず、からだも中年太り。雑用のような仕事。社長からの叱責。夫の退職。まだまだ残る家のローン。結婚したら幸せになれると思っていたにもかかわらず、想像もしていなかった四十路の現実に、もう誰にも頼ることができないと追い詰められる亜弥だが。

 老いても元気な人は世の中にたくさんいて、年齢よりも若く見られるという話が多い中であっても、確実に、誰の身にも「老い」は訪れる。ややもすれば現実逃避したくなる様々な出来事に直面する人生の節目。どうすればやる気が出せるか。どうすれば自信が持てるか。どうすれば生き生きとした毎日を送ることができるか。

 自らも四十路を越え、それでも自信に満ち足りた毎日を送るジェーン・スーさんが、渾身のメッセージを発信している秀作。