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漫画『ブルーサーマル -青凪大学体育会航空部-』  1巻 感想

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 漫画『ブルーサーマル -青凪大学体育会航空部-』。グライダーを飛ばす大学体育会航空部が舞台の青春スポーツ作品。作者は、小沢かなさん。主人公は、長崎県出身、十九歳の都留たまき(つるたまき)。愛称は「つるたま」。『空飛ぶ』部活という、地上と空中を駆け巡る、新鮮感いっぱいの作品。

 本書タイトルである『ブルーサーマル』のサーマルとは上昇気流のことで、太陽熱で熱せられた地表の空気が気泡となって上昇する、その空気の流れのこと。通常、気泡が雲を作るのだが、ブルーサーマルとはその気泡が雲を作らない上昇気流ということだそうです。グライダーは、この上昇気流を捉えて空高く上り、そして滑空して前へ進むという飛行機です。

 高校生時代、強豪チームでバレーボールにひたすら打ち込んでいた主人公たまきは、一浪して大学へ進学する。しかし彼女には、高校二年生の時、初恋の相手に告白したものの、あえなく撃沈した苦い経験があった。そして、大声を出してスポーツをすることが、男子からすれば「恥ずかしい」ことと知しらされショックを受けてしまうのだ。

 見事にフラれた経験を持つたまきは、もう二度と体育会女子はやらないと固く決意する。そして果たせなかった「恋をする」ことを夢見て、大学入学後、出会いを求めて何の迷いもなくサークルに入ったのだが、思わぬアクシデントに見舞われてしまう。

 サークルに入った当日、事もあろうに体育会航空部のグライダーの機体の一部を壊してしまうのだ。グライダーの値段は一機、千五百万円と聞かされ、あまりの金額にその場で気絶してしまう。壊してしまった機体の修理費は二百万円。そのお金を払うことができず、そのため半ば強制的に航空部に入部させられてしまい、彼女の「恋をする」目論みは儚く消えてしまうのだった。

 だがしかし。航空部に入部した初日に、たまきはとんでもない体験をする。彼女の持つ不思議な素質を感じたせいか、主将自らパイロットになり彼女をグライダーに乗せ、真っ青な空の中へ連れて行ったのだ。その初飛行でたまきは、感動のあまり心が震えてしまったことがきっかけとなり、空を飛ぶことに目覚め始めるだ。

 主人公の都留たまきは、スポーツ少女らしく快活で、根っからの頑張り屋。初夏の風を醸し出す性格だが、『どうせやるなら一番とったるけん。よう見とかんね!!』と、みんなの前で言い切る度胸と負けん気の強さを人一倍持っている。そして一直線に相手や空を見る、心が透きとおるような彼女の眼差しは、純粋で、まっ正直な、心ばえの良い人柄を映し出している。ひょうきんでユニークな面もあるが、それが一層、彼女の純粋さを引き立て、彼女の魅力を高めている。

 特にこの第一巻での、たまきが初飛行をする場面は、心が打ち震えるほど感動的だ。息をのむほど青い世界に吸い込まれる彼女を、ものの見事に描く作者・小沢かなさんの力量に感銘を受ける。作者の作品に対する熱度の高さを伝える名場面なのだ。

 コメディタッチなシーンもふんだんに取り入れられているが、時にはまっすぐに。時には涙する主人公の心の描写が読んでいても手に取るようにわかり、そして、清々しい気持ちでいっぱいになる見事な作品だ。

 来月、コミックス第四巻が発売されます。