読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

のり弁当 - 漫画の書評・感想のブログ -

漫画の書評や読書感想を書いてます。時々、つぶやきもあります。

漫画『アトム ザ・ビギニング 1』書評

書評 漫画 読書

f:id:ibukiyama:20170420222311j:plain

 漫画『アトム ザ・ビギニング 1』書評。原案は、手塚 治虫さん。コンセプトワークスは、ゆうきまさみさん。作画は、カサハラテツローさん。原作『鉄腕アトム』を生み出すために、現代の科学が通過するであろう道のりを描いている作品。

 AI(人工知能)は、現在、すでに開発され使用されていて、また、更なるプログラムの変更や改良も行われている。最先端の科学分野は様々な場面で使われているが、特に軍事目的にもつながる要素もあるため、どのくらいのレベルまでAIが進化しているのかは、わからない。

 本作に登場するロボットは、いろいろあるのだが、人が無線でコントロールするロボット。人が搭乗して動かすロボット。そして、「自我」を持つAI(人工知能)を搭載したロボットである。この『アトム ザ・ビギニング』第一巻からすでに「自我」を持つA106(エーテンシックス)の開発に成功している。

 謎の大災害が起きた後、国立練馬大学大学院ロボット工学科に通う、天馬 牛太郎(てんま うまたろう)と、お茶の水 博志は、第七研究室で次世代人工知能「ベヴストザイン」を搭載したエーテンシックスを研究開発している。A10シリーズの完成形を開発したいのだが、研究費が無くなってしまい、バイトをしながら研究室へ通っている毎日である。

 そのバイト中にエーテンシックスが活躍する。ロボットのテーマパークのバイトに寝坊で遅れてしまった牛太郎の代役として、エーテンシックスがロボットのぬいぐるみを着て働くのだが、あるロボットの装置がショートし発火してしまう。その発火をパレードに参加していたエーテンシックスが遠くの位置から探知し、大事故を未然に防いだのだ。誰から命令されたわけでなく自らの判断で事故を防いだのである。これがエーテンシックスの初めての功績となる。

 そして、その後日。牛太郎と博志は会議に出席していたのだが、研究室には博志の妹・蘭(らん)とエーテンシックスしかいなかった。そこへ正体不明の謎の人物らしき物体が現れ、蘭に襲い掛かってきたのだ。すぐさま危険を察知し、エーテンシックスが彼女を助け、謎の物体と交戦し始める。両者ともに互角の戦いをするのだが。

 何のために「自我」を持つロボットが必要なのか。たとえば人間が行えば非常に危険な事故や災害現場での活動も、その理由のひとつとして挙げられる。瞬時の判断で的確に人命救助を行うことも可能なはずだ。医学の分野であれば、ミスを許されない難しい手術も冷静な判断で行うこともできる。人の能力には限界がある。一日中、動き回れば疲労し休息が必要になる。このような場面で「自我」を持ち、疲れもでないロボットが活動できれば、人間にとって味方になることは間違いない。

 しかし、「自我」を持つロボットを開発することによって起こる問題もある。AIが、もし暴走するようなことになれば大ごとなのは現時点からも想像できる話だし、そのような危険な事態が起こることを、この『アトム ザ・ビギニング』が危惧していることは明白だ。

 そしてもうひとつ。古代の昔より現在に至るまで人々は争いを止めようとしない事実。原作『鉄腕アトム』の未来の世界でも同様である。いずれ様々にプログラムされた「自我」を持つロボットが数多く開発されるであろうし、その時、ロボット同士の戦いが起こるのも想像できるのだ。

 天馬 牛太郎は、荒っぽい性格もあり、お茶の水 博志は、原作『鉄腕アトム』のテレビ放送の主題歌にもある「心やさしい」という言葉を持つ青年だ。『アトム ザ・ビギニング』第一巻では、これからどのようなことが起きるのかわからないが、未来をどう描くのか非常に楽しみであり、場合によっては、様々な危険を回避するヒントになるかもしれない作品である。

 現在、『アトム ザ・ビギニング』は、第五巻が発売されています。