のり弁当 - 漫画の感想ブログ -

漫画の書評や読書感想を書いてます。時々、つぶやきもあります。

漫画『さよなら私のクラマー』 第1巻 感想

f:id:ibukiyama:20170501230510j:plain

 漫画『さよなら私のクラマー 1 』書評。作者は、新川 直司さん。女子高生の女子サッカーを描いた物語。新川さんは、前作でもサッカーの作品を描く、サッカー好き。試合などの画力は抜群。

 中学時代、突出した才能を持ちながらもチームとしての総合力が低いため、その才能を生かすことができなかったウイング・周防 すみれ(すおう すみれ)。普段は少し冷たい表情で孤高でクール。少々、ねちねちと根に持つ面もある。そして、すみれの中学と学校が近いため、地区予選などで必ず対戦していた全国三位の強豪チームのミッドフィルダー(ボランチ)の曽志埼 緑(そしざき みどり)。性格は明るく気配りもできる。たまに強気の発言がある。

 すみれは結局、実力を発揮できないまま中学生での女子サッカーの試合を終えてしまうが、ある日、緑とともに、緑が誘われている強豪・浦和邦成高校と、蕨(わらび)青南高校との試合を観に行くことに。そして、緑は一緒の高校でサッカーをやろうと、すみれを誘う。緑はすみれの実力を高く買っているのだ。しかし、すみれは蕨青南高へ進学しサッカー部へ入部してしまい、結局、緑も同じく蕨青南高に入学しサッカー部へ入部。すみれは、浦和邦成高校戦で実力を出し切れず悔し涙を流した部長の田勢 恵梨子(二年)にすっかり共感してしまったのだ。

 そして二人が入部した初日に、さっそく二年生チームと一年生チームで試合が行われた。連係プレーの練習もないまま、いきなり試合が始まるが、案の定、一年生チームは二年生チームに点を取られ続ける。しかし、全国屈指の実力を持つ緑に火がつき、すみれとともに反撃を始めるのだ。それでもさすがに、すみれに対するチェックが厳しくなり、実力がある二人だけでは思うように試合を作れない。そこへ、もう一人の実力の持ち主、一年生の攻撃的ミッドフィルダー・恩田 望(おんだ のぞみ)がプレーに加わってきたのだ。

 ここから、蕨青南高は新一年生の実力ある三人を加えて怒涛の快進撃を始めるのか!?

 サッカーは十一人にプレーする総力戦。たとえ突出した恵まれた才能があっても、周りの人たちの実力が伴わなければ余儀なく苦戦する。特に女子サッカーは、男子サッカーと比べ活躍できる環境が少ない。テニスのような男女混合ダブルスもない。実力を発揮できる場自体が限られてしまうのだ。

 もちろん、チームとしてではなくU-17のような全国選抜チームはあるが、試合の結果が万年最下位のような有様では、そうそう選抜チーム入りも難しい。しかし、実力に差があっても純粋にサッカーを楽しみたい気持ちは誰もが持っている。ただ人は、自分一人だけと思っていたのに、仲間がいると分かった時、勇気が溢れ出る。そして、目の前の壁が高いほど、闘争心に火がつく。これがコミックス第一巻から伝わるメッセージ。

 ちなみに、恩田 望は、作者の前作『さよならフットボール』の主人公。女子中学生ながら、男子チームでサッカーをしていた才能のある選手。しかし、時間が経つにつれ体力面で徐々に差が開いてしまう。前作も読んでいると、さらにストーリーを理解しやすいが、未読であってもとても面白い本作品。蕨青南高のこれからはどうなるのか。とても楽しみな作品。

 現在、コミックスは第二巻が発売されています。