のり弁当 - 漫画の感想ブログ -

漫画の書評や読書感想を書いてます。時々、つぶやきもあります。

漫画『さよなら私のクラマー』 第2巻 感想

 

f:id:ibukiyama:20170504155821j:plain

 新生・蕨青南高は練習試合ではあるものの、初めての対戦チームは久乃木学園高校。高校女子サッカー日本一のチームだ。とんでもない相手と戦うことになった彼女たちだが、かつて、女子サッカーのスーパープレイヤーで母校のコーチを引き受けた能見 奈緒子が、どうせ戦うなら圧倒的な実力を持つ日本一のチームと戦い、蕨青南高チームのメンバーを散々な目に遭わせる目的で彼女が仕組んだのだ。実力の差は明らかだ。特に一年生ながらも久乃木学園のエースナンバー10番をつける井藤は天才プレイヤー。

 しかし試合中、日本一のプレーヤーを目の当たりにして、「女子サッカーにも凄い選手がいる」と目を輝かせ俄然やる気を出してきたのがミッドフィルダー・恩田 希。彼女は中学時代、男子サッカーに参加していたため、女子サッカーの中では、まるで名の知れていない選手。しかし、ボールのキープ力。ずば抜けた体幹バランス。そのプレーに、久乃木学園の選手のみならず、相手チームの監督や、能見コーチまでが彼女に目を奪われる。

 チームの総合力では圧倒的に不利な蕨青南高。しかし、全国屈指のボランチ・曽志崎 緑。抜群のスピードの持ち主のウイング・周防 すみれ。そして、恩田の三人が、日本一の久乃木学園を翻弄し始める。もちろん、久乃木学園の実力は伊達ではなく、未だ蕨青南高は無得点。しかし、これまで無名だった恩田のプレーを阻止することができないのだ。徐々に流れが蕨青南高に変わって来ている。

 ところが、ウイングのすみれの様子がおかしい。ディフェンダーにボールを奪われてばかり。スタミナ切れなのか?いや、彼女は「戦略的敗退」だと言うのだ。クールで寡黙なすみれは、ディフェンダーの日本一を自慢気にする、蕨青南高を小馬鹿にした嫌みな上から目線の態度に我慢し続けるのだが。そんなすみれに恩田が話しかける。どうなる蕨青南高チーム。

 チームはまだ未完のまま。それでも日本一のチームに対して臆することがない。能見コーチの思惑とは裏腹に、得点するチャンスが0でない限り全力で戦う。サッカージャンキーの女子サッカー選手は、代々、あきらめが悪いのだ。

 全国で一位というのは、恵まれた素質と科学的に分析した理論。そしてそれを惜しげもなく使いこなすだけの能力が必要になる。高校生のクラブ部活動はあくまでも学業優先の上にあり、練習時間さえ規定されている。体育会であろうと文化部であろうと、プロのように毎日八時間練習することはできない。それが高校生のクラブ活動だ。

 そのように、練習時間も十分確保できない中であっても、高校卒業と同時にプロの世界に入る人が少なからずいるのだ。しかしサッカーのようにチームプレーが必要なスポーツは、個人の能力だけ優れていても日本ーのチームになれるわけではない。限られた時間で、どのように個人とチームの能力を磨き上げていくのか。弱小・蕨青南高チームが、どのように成長するのか。楽しみな作品だ。

 コミックスは現在、この第二巻まで。ただ今、月刊少年マガジンに好評連載中。