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漫画『アトム ザ・ビギニング』  2巻 感想と考察

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 ロボットレスリングで優勝し賞金を獲得したい天馬 午太郎。そして、エーテンシックスはすべての試合に勝ち続け、最終試合、Dt.ロロの産み出した最強ロボット・マルスと戦うことになる。マルスは、エーテンシックスと同じく人口知能で動くロボットで、とてつもない運動能力と破壊力を持っていている。そして、これまで一度も負けたことがない。

 そのことを理解したエーテンシックスは、これまでの方法では勝てないと認識し、真っ向から勝負に挑む。しかし、試合中、エーテンシックスは自発的に、マルスに対して短距離無線通信で会話しようとするのだ。何の目的でマルスに通信しようとしているのかはわからないが、ロボット同士で会話を試みるのだ。そして、最後にマルスは返事をして起動不能になる。

 試合でかなりの損傷を負ったエーテンシックスは研究室へ戻るが、お茶の水 博志は、試合中、エーテンシックスが短距離無線信号を発信していたことに気づくが、それはまるでひとり言を言っているかのような信号の痕跡でしかない。そして、エーテンシックスは最後に別の誰かからの信号を受信していたことを突き止める。あたかも、ロボット同士が会話していると、残念ながらそこまでは彼はすぐさま理解できなかった。

 人の心は生々流転である。たとえ信念を持っていたとしても他人からの言動によって考え方を変えることがある。親だったり、友人だっり、恩師からの助言で、白を白だとする考えも、時には黒とすることがある。人の持つ曖昧さ、またはファジーなものによるせいだ。

 しかし、エーテンシックスのように自我を持つロボットは、果たしてどうだろうか。開発者の命令に従うものの、自我を持つことにより人と同じく曖昧さやファジーな面を持つのだろうか。エーテンシックスが試合中、相手のロボットに何を話そうとしていたのかわからないが、もしかすると、相手を説得しようと考えたのかもしれない。

 こうなると話はさらに難しくなる。人は相手を説得することができるが、相手に説得されることもある。人工知能により自我を持つロボットがもし相手を説得しようとして成功すれば、相手のロボットの開発者の命令に従わないことになる。逆も同じだ。エーテンシックスが相手に説得され命令に従わなくなるかもしれないということだ。

 漫画『アトム ザ・ビギニング 2 』において、ロボット同士が通信している以上、あくまで想像の域を出ないが、自我を持つロボットは人と同じように信念と曖昧さ、ファジーな面を持つ可能性は十分考えられる。この先の未来のどこかで、人とロボットの共存ではなく、ロボット同士だけのチームや組織ができてしまってもおかしくないといえる。

 自我を持つ人工知能は人にどのような影響を及ぼすのか。『アトム ザ・ビギニング』の第二巻の解釈は難しい。