のり弁当 - 漫画の感想ブログ -

漫画の読書感想を書いてます。時々、つぶやきもあります。

2017年の出版状況 2

今年の出版状況パート2です。

出版クロニクルの最新データは11月分までで、年末12月分は来年1月発表になると思いますが、この記事で注目すべきはやはり、コミックスとMookの売り上げ減がひどいという話です。(電子は除く。)

odamitsuo.hatenablog.com

先日、出版社勤務時代の知り合いの書店の店長に、久しぶりに会って話を聞いたんですが、特にMookがすごいことになっているそうです。たとえると、坂道を転げ落ちるというどころではなく、いきなり崖から飛び落ちてしまうという有り様だそうです。

近年の雑誌の売り上げ部数は、自分が出版社にいた頃からすれば、もう信じられない数字にまで落ち込んでいるんですが、ちょうど2000年あたりがピークで右肩下がりです。

もちろんそんな中でも光文社の女性誌は検討していますし、集英社のLEEもまだがんばっています。雑誌は広告収入というものがありますから、スポンサーがいる限り、残る雑誌は残ります。

問題は、コミックスとMook誌。Mookに関して言うと広告を入れることができるので、多少は儲けも出るのですが、実売数はもう手の施しようがないくらいと考えるべきかと思います。

出版社が出す出版物は、書籍、雑誌、Mook、コミックスです。書籍は、実際の所、印刷部数を抑えて、首都圏で7~8割方売れればトントンです。あとは重版すればそれが儲けになります。なので、初回の刷り部数をバカみたいに作らなければ採算がとれる仕組みです。地方の人で割と大型の書店に行ったものの本が無かった、というのはこのためです。

雑誌は先に言いましたように広告収入がまだありますから、出版社の基礎体力(資本力)が健全なら実売数が少なくなっても儲けが発生しているので、まだマシな方です。

で、問題はMook誌とコミックスです。出版社と取次店・書店の関係で言うと、Mook誌というのは一度作れば、一回返品になっても、本がきれいなままなら再度、取次・書店へ卸すことが可能です。年度版など特に季節がくれば再搬入する、ということを出版社は繰り返します。

ただ、先の書店の店長さんの話も踏まえ、Mook誌は作れば作るほど赤字になると考えてよいのではないかと思います。ネットの普及で2000年頃を売り上げのピークとした出版業界も、あの手この手でたまにバカ売れしつつ、収入の安定していたMookも、もはや当てにできないのが現状だと思います。

残るコミックスは、つい近年まで実売の落ち込みはまだそれほど悪くなかったのが、電子版の普及もあってか、紙のコミックスも限界が近づいている気がします。出版社自身ももう残るはコミックス以外ないかのごとく、やたらコミックスの発行点数が近年増えている状況で、あまりの多さに読者がついていけないのが現実ではないかと思います。

知っている人も多いと思いますが、コミックスも初回の印刷部数はよほどの漫画家さんの作品でない限り抑え気味で、発売から一週間くらいをめどに重版するかしないかが決定されます。ツイッターなどでよく「重版決定!」などの宣伝を見かけるのも、実のところ初回刷り部数がかなり少ないためだと思っています。

初速が一週間というのも、あまりの出版点数の多さで、すぐに新しい別のコミックスに入れ替わる(書店店頭やネットショップ)ためだと感じます。

ネットの普及で感じたのですが、これほど若い人たちに漫画家希望者がいるとは思っていませんでした。同人誌も含め漫画を描く人口は70万人くらいと言われ、「左利きのエレン」ではないですが、万が一として頂点に立つ人気の漫画家さんは70人になります。実際はもっと売れる実力のある漫画家さんがいると思いますが、版元からしてみれば、特に漫画編集部。ここの人たちからすれば、「代わりはいくらでもいますよ」というのが表向きの態度だと思います。

もちろんその実は、賞を取れば即、連載とか、売れる漫画家さんはいないかとコミケにまで探して回るのが現状なんですが。

と、まあ、踏んだり蹴ったりの出版業界ですが、売り上げは来年も落ち込むと思います。買い切りという制度があるため、資本力のある書店は売れ筋商品を買切ることも考えられます。ただし、それもお茶を濁す程度かもしれません。

返品が可能な再販制度は日本特有の制度で諸外国は皆、買い切りが普通です。再販制度がなくなれば、当然、言論の自由は無くなります。もうぎりぎりの崖っぷちという感じでしょうか。

資本力のある出版社(といっても社会全体からすれば中堅企業なんですが)だけが生き残る。あとはミニコミ誌出版みたくなってしまうのか。

電子のコミックスがどうなるのか。ポイントはもうここしか残っていない気がするのですが、もちろん、雑誌読み放題(料金月額制)などが普及するなら、また、新しい出版時代になるのかもしれません。版元もだまって指をくわえているだけではないと思いますが。来年はどうなるでしょうか。

雑記でした。