のり弁当 - 漫画の感想ブログ -

漫画の読書感想を書いてます。時々、つぶやきもあります。

漫画 『冒険エレキテ島』 1巻から2巻 感想

f:id:ibukiyama:20171223004147j:plain

 漫画『冒険エレキテ島』。作者は鶴田謙二さん。ソードフィッシュ水上機型の複葉機(英国製二枚羽根飛行機)で、離島で祖父と共に空輸業を始めた主人公・みくら。快活な女子。

 物語は、みくらの祖父が無くなり、それでも一人で航空便の空輸業を続けながら、祖父の遺品にあったエレキテ島という、太平洋を彷徨う幻の島に荷物を届けるという設定から始まる。

 地図にも載っていないエレキテ島とは何か。それは分からないのだが、どうやら北太平洋を巡回している海流に乗って浮遊している島のようなのだ。ただし完全な浮遊物かどうかは分からない。エレキテ島が太平洋を一周するのに約3年。と、そこまではつきとめたものの、正確な位置は分からない。

 しかし、ある日、島の住人が飼っているイルカが、みくらが3年前に海で無くした携帯電話を持ち帰ってきたことにより、エレキテ島がまさに今、日本の近くに来ていることを知る。もし、この機会を逃せば、次に島を探すことが出来るのは3年後なのだ。島が通るルートを予測し、主人公・みくらは、旅支度を整え愛機でエレキテ島探しに出発する。

 作者・鶴田謙二さんは、漫画家でもあり、イラストレーターでもある。鶴田さんの描く絵は、異国の香りが漂っている。そして漫画でありながらも、絵画を思わせる絵を描く人なのだ。主人公・みくらが載っている複葉機も細部まで非常に丁寧に書き上げている。もちろん、みくらの暮らしている家も島も、そこに暮らす人たちの描写も抜群だ。

 2巻で目的地である幻の島・エレキテ島を発見し、何とか上陸するのだが、島のあちこちは外国そのもので、どこか地中海の国々を思わせる建物が描かれている。また、普段から単独行動をしている彼女なので、仕事でも人としゃべる機会が少ないこともあってか、この作品は言葉の無い世界をひたすら進むという特徴がある。

 エレキテ島に暮らす人たちも無口な人物が多い。ほとんどが老人なのだが彼らは、いつから島に暮らしているのか。どうやって生活しているのか。何も分からない。そして、みくらはある人物に出会うことになるのだが。

 海外へ行った人なら分かると思うが、初めて行った海外の国を一人であちこち歩き回り、異国の世界を地図も何も持たずに黙って見て回る。何もかもが初めて目にするものばかりで、驚いたり、時には道に迷うこともあるだろう。それが作者の見事な作画で表現されているので、ほんとに海外を一人旅しているかのように感じることができる。夜のエレキテ島の描写は圧巻。

 ただ、この作品は、何を物語ろうとしているのか、2巻目までではわからない。しかし、作者の鶴田さんが作る世界観は現実主義でありながらも、作風が異国、それも空想の世界を思わせることもあるので、絵画や風景画などが好きな自分としては、まれに見る才能の持ち主という印象だ。ストーリー展開がとてもゆっくりしているので、話はこれから、という点もあるが、これほど絵の上手な漫画に出会ったことがない。


 スタジオジブリでも描けないのではないかと思ってしまいますが、宮崎駿さんが描く漫画、たとえばナウシカの漫画版みたいな、独特の世界。宮崎駿さんのそれとは違いますが、鶴田さんの描く絵にも独特の世界があるということです。ストーリーは、まだまだこれからなんですが、とにかくすごい人がいるもんだなと思います。

 『冒険エレキテ島』は、コミックス2巻が発売中です。